カテゴリー別アーカイブ: 社長日記

2020年年頭所感

皆様、新年あけましておめでとうございます。旧年中はたいへんお世話になり、ありがとうございました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

藤井絞の2020年は、本日1月6日から始まりました。年末年始は少し長いお休みを頂き、様々なことをじっくりと考える良い機会となりました。これからどうしていくのか、どう考えるのか、今年のスローガンを絡め、述べさせて頂きます。

まずは昨年の状況と反省から。前半夏頃までは、前年とあまり変わらず、普通に流れていました。しかし、秋口から、そしてまた増税後の10月から、より厳しい状況が続き、そのまま年末を迎えました。増税に対処出来なかったことは、昨年の「変化を進化へ」のスローガンを実行出来なかったことになります。大きな対策も打てず、流れにまかせてしまったことは反省です。ただ、同業者や業界誌の記者の方々に聞きましても、良い話しは聞けず、同じような状況なんだなと、確認することが多くありました。しかし、悪い話しはいくつ聞いてもダメで、参考になることが少ないですね。自社も含め、これからこの業界はどうなるのか、そして、どうしていくのかをよく考え、腹を決めて取り組まないことには、何もはじまらないなと再認識しました。

「選択と集中」をスローガンとした数年前より、業者様向けの案内状を原則廃止したり、ルートセールスを少なくしたりなど、同業者がまず選択しない方法をとってきました。それは、SNSが発達したり、従来の方法での営業が効かなくなってきたことに起因しています。弊社の名前が知られたり、商品の人気があったりしたことで、結果、受動的となっていました。『お客様に選ばれる会社』を目指してやってきましたが、最近、限界が見えてきたなと感じています。同じことをしてダメなら変えないと、未来はないですね。

それを踏まえ、今年のスローガンは【積極的・能動的・自発的】と致します。

近年を振り返りますと、受け身の商いが多かったです。案内状を原則廃止したことにより、弊社に目的があるお客様を待つ商いだったり、展示会の依頼を待つなど、こちらから積極的に動いて取りにいく動きは少なかったです。そのようなことを鑑みて、今年は積極的にお客様に働きかけます。

SNSにより、新しいお客様とも会える機会が増えました。また、世代交代が始まっていて、私より年下の後継者のお店も増えてきました。新しい方法で、新しいお客様を獲得されていて、たいへん刺激を頂いています。実は、私自身がスランプなのか、飽きなのか、新しいことに飢えていました。元来飽き性で、最近の自社のやり方にも限界を感じていました。そのような中、新しい考えに触れ、いろいろと見つめ直すことも多くなり、まだまだ頑張らないとと奮起の機会を頂きました。父の引退に伴い、昨年4月から会社内部のことを多くするようになりましたが、やはり現場が好きで、改めて営業に出たいなと感じた年末でした。という訳で、また現場に少し戻りますので、お伺いした時はどうぞよろしくお願い致します。

それから、年末に社員1人1人と話しました。考えていること、やりたいことを聞き、私からお願いすることもしたりして、いろいろ話しました。20歳代の社員が3名になったということもあり、感覚が新しく、ハッとさせられることも出てきました。私自身が古いなと感じることもありましたし、会社の体制ができていないなと気付くこともありました。

そんな中で、毎年書いています「新しい職人を育てる」ことに関して、進展がありました。それは、社員に職人仕事を打診したら、職人の仕事を覚えたいと言ってくれたことでした。実は、前から考えていて、したいですと。灯台下暗しとはこのことで、ものすごく嬉しい出来事でした。スタートはこれからですが、将来的に社内でいろいろ出来ればおもしろい展開になるのではと考えています。そのためには、それぞれの仕事を誰でもこなせるようにしていくことが急務です。今年のスローガンであります【積極的・能動的・自発的】が大切になってきます。期待感も込めて、このスローガンでいきます。

きもの販売を取り巻く環境は、年々厳しくなってきます。守ってばかりいても縮小しかないなと。どうせ厳しいなら、前へ出て自分で切り拓くしかないと、目が覚めました。景気のせいにしたり、増税の影響とか言ってるのが情けなく感じています。やるかやめるか、本当のラストチャンスが、あと2、3年あるかどうかのイメージです。職人の高齢化により、物ができなくなり、売る物がなくなってきます。できないのに売る仕組みを追いかけるのは、矛盾していますし、そうならないように、今年は【積極的・能動的・自発的】に動きます。

全国のきもの業界の方々と協力し、消費者の皆様へ商品をより届きやすくします。SNSもありますし、キモノショーやきものサローネ、藤井絞祭りなど、直にお会いできる機会も多くあります。また、会社をショールーム化し、いつでもご覧頂けますように致します。以前から申し上げている通り、弊社は小売販売をしたくありません。仕立てに関わるノウハウは、呉服店の方が長けていて、その仕事はおまかせし、そして納品頂けたらと常に思っています。それぞれの立場を全うして、消費者の皆様が安心してお買い求め頂くシステムを構築できればと考えています。

東京オリンピックの記念の2020年。【積極的・能動的・自発的】に、そして夢中になってきものに向き合います。情熱を傾け、きものを楽しみたいと思います。

そのようなことで、今年もご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

藤井絞株式会社  藤井 浩一

 

 

 

 

 

2019年を振り返って

藤井絞、先日2019年のすべての業務を終了致しました。今年も1年、皆様方にはたいへんお世話になり、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。年末恒例の社長ブログ。ここ最近は、年始の年頭所感と、年末の振り返りの2つしか書いておらず、たいへん心苦しい限りですが、どうぞお付き合い下さいませ。

【変化を進化へ】をスローガンとして取り組んできた1年。元号が変わり、消費税が上がり、世間では大きな変化がありました。弊社も会長である父が3月末に引退し、4月からは新卒の社員が入社し、大きな節目の年となりました。今まで父に任せていた、慣れない経理や総務の業務をするようになりました。恥ずかしながら、わからないことがわからないこともあり、人に聞くことも多く、未だ手探りの毎日です。そのような中、なんとか合理化を図れたことも出てきて、以前より効率はアップしたと感じています。結果が同じ事は、出来るだけ時間や労力をかけたくありませんので、そこは来年以降も取り組んで行きたいと考えています。

【変化を進化へ】のスローガンでしたが、変化の波をしっかり捉えることが出来ず、結果、増税後の冷え込みを被った形になり、秋からあまり良くない流れでした。増税だけが要因ではないと思いますが、全体的に見て、きものを取り巻く環境が年々厳しくなっているなと感じています。

一例として、今年は浴衣商戦が厳しかったとあちこちで聞きました。弊社に関して言えば、仕入れシーズンに売れた反数は、例年とそんなに変わりありませんでした。しかし、お得意先様から消費者のお客様に売れた、いわゆる在庫が効率よく売れたというお話しは少なかったので、来年の浴衣商戦に一抹の不安があります。でもやるしかありませんので、来年もたくさんの新作をご用意しております。是非楽しみにお待ち下さいませ。

良かった話しとしましては、まず、昨年Instagramを始め、今は約2000名弱のフォロワーの皆様が応援して下さり、お問合せやご注文頂くようになりました。そして今年は、YouTube『藤井絞チャンネル』で動画を始めた事は進化でした。まだまだ更新頻度は低いですが、来年以降は皆様にもっとご覧頂けますよう、取り組みたいと思います。是非チャンネル登録を、よろしくお願い致します。

YouTube「藤井絞チャンネル」https://www.youtube.com/channel/UCxzwC-0GCUL1lEhwmw0RKlA

藤井絞 Instagram    https://www.instagram.com/kyoto_fujiishibori/?r=nametag

そして、もうひとつ。新商品であります、オリジナル『木綿きもの』の完成度が進化した事は、たいへん大きな良い出来事でした。浴衣を着る期間と真逆の9月から5月まで着られる、家庭で洗える木綿のきものを1年前から作っていました。そのような中、最後の工程でとても良い仕上げを職人さんが見つけて下さいました。その結果、触り心地、着心地が、より素晴らしいものになりました。

そんな中、実際にその木綿をお召し頂いた方から、次のような感想を頂きました。『なにより足に絡まない。皺にならない。落ち感抜群。落ち感が絹みたいですね。そして、着心地が軽くて肩が凝らない。』。最近、他の方々からも同じような感想を頂いております。

今までの木綿では絶対に感じられなかった、もうこれ以上ない最高の褒め言葉です。今までの木綿の常識を覆す、まったく新しい木綿。目指していた木綿がようやく完成しました。まだ量産出来ず、数は少ないですが、どちらかで触る機会がございましたら、是非お試し下さいませ。弊社、3種類のオリジナル綿麻浴衣素材も自信作でたいへん好評ですが、木綿の感想をお聞きしていると、それ以上の満足度を頂いているようで、それが本当に力になり、自信になりました。来年はもっと展開出来ればと考えています。

年男でした1年、猪突猛進の思いでやって来ました。振り返ってみますと、もっと攻められたのではなかったかなとの思いがあります。それを踏まえ、来年取り組むことに致します。

最後になりましたが、皆様方には今年もたいへんお世話になり、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。来年もより一層のご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎え下さいませ。

藤井絞株式会社 藤井 浩一

2019年年頭所感

本日1月4日、藤井絞の2019年はスタートしました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。昨年の世相を表す漢字は「災」でしたが、きもの業界に取りましても、はれのひ事件に始まり、きものの実需時期の秋はたびたび台風に見舞われ、あまり良い状況にはなかったと思います。弊社に関しましても、後半の動きがあまり良くなく、残念ながら苦戦で年末を迎えました。そのような中でも、InstagramをはじめとしたSNSの反応は年々よくなってきていて、商いの流れの変化を感じています。そのことを鑑みて、今年のスローガンは【変化を進化へ】と致します。

今年は元号も変わり、消費税も変わる節目の年です。また来年の東京オリンピックを見据え、急ピッチで様々な変化が生じてくるでしょう。世の中の変化は益々目まぐるしく、それに対応していかねばなりません。変化をどのように捉えるかで随分と違いが出てきます。前向きに捉えると、変化はある意味チャンスです。新たな気持ちになったり、リセット出来たり、考えや方法を変えるきっかけになります。捉え方、見方でいかようにもなります。そしてそれからどうするかなのですが・・・

藤井絞に関して言えば、今年大きく2つの変化があります。まず1つ目ですが、年度末の3月末をもちまして、父である会長が完全に引退します。それに伴い、社長である私の仕事の内容や方法を変えていく必要が出てきました。今までのように出張する機会は少なくなる傾向になっていくと思います。ですのでこれからは、今まで以上に社員が働きやすい環境作りをすることと、そして商品がお客様に伝わりやすい方法を模索し、販売がスムーズにいく後方支援が大きな仕事の柱になります。その為、あまりしていない動画配信には挑戦したいなと考えています。2つ目は、新卒の女性社員が入ってきます。御縁があり、年末に急遽決めたのですが、藤井絞の新しいカラーになるおもしろい人材だと期待しています。若いこと、知らないことを武器として、藤井絞を盛り上げていって欲しいと思います。新人ブログなども出来ればと思っていますので、楽しみにしておいて下さい。動画やブログを通じ、昨年のスローガンであった『ブランディング』をもっと推し進めることが、藤井絞の進化に繋がるのではないでしょうか。

あと、毎年のように書いている事なのですが、絞り職人の育成に取り組みたいと考えています。実は昨年、長い間弊社の仕事をして下さってた職人さんが数名、ご高齢の為に廃業されました。ついに来たかという現実と、もう出来ない技術があることの無念さを痛感した1年でした。今年はその轍を踏まないよう、技術継承に取り掛かる年にしないとなりません。現状、もう間に合わない時期に差し掛かってきています。そこを打開し『京鹿の子絞り』の未来を創る足掛かりの1年としたいと考えています。その為には仕事に魅力を感じてもらい、且つ生計が成り立つ仕組み作りが急務です。昨年発表しました木綿のきものや、従来からの浴衣の仕事をきっかけとし、たくさん仕事をしてもらえる環境を整えること。数をこなすことで仕事を覚え、それを絹に展開していく流れです。京鹿の子絞りの真髄は、あくまでも絹に施す技法ですので、最終そこへたどり着く過程の仕事をたくさん創ることが、新しい職人さんを育てる土壌になると考えています。正絹のきもの→浴衣や木綿のきものは、単に高いものから安いものを作るということだけでなく、新しい市場を創造し、沢山の仕事を創り、新しい職人さんを育てることにも繋がります。近年の浴衣のヒットにより、結果そのイメージが出来上がったのですが、今年はそのチャンスを活かしたいと思っています。

最後に、近江商人の商売の教えで【三方良し】の精神、《売り手良し、買い手良し、世間良し》があるのですが、ここに《作り手良し》を加えた【四方良し】の会社にしていくことが目標です。近年のきもの業界を取り巻く状況は残念ながら良いとは言えず、特にものが無くなってきて商売が成り立たない時代に差し掛かっています。ですので、作り手がもっともっと重宝される時代に必ずなります。その為、様々な業態が変化していきます。職人、メーカー、流通、小売、立場は違えども、一緒になったり、協業したり、統合したり、変化は日々起こっています。自分の会社はどう生きていくのか、しっかり考え決断し、変化を進化へ変える取組みがより大切になっていくでしょう。作り手を大切にし、わかりやすい流通形態にしていく時代にせざるを得ません。【変化を進化へ】していくことこそが、藤井絞の生命線になる大事な1年になります。

今年はどのような年になるでしょうか。私は亥年の年男なのですが、年齢上『猪突猛進』で進める最後の廻り年になると思います。ですので、なんとか良い年にすべく頑張る所存です。

今年もご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

藤井絞株式会社   藤井 浩一

 

2018年を振り返って

藤井絞は先週12月21日をもちまして、今年の業務を終了致しました。随分遅くの締めのブログとなり心苦しい限りです。ブログを書くのも年始以来と、ここ数年はHPよりもFacebookでの発信に重心を置いていますことをお許し下さいませ。

さて、藤井絞の2018年の目標は「ブランディング」でした。ブランディングに、より注力した1年間を目指しました。何をしてきたかなと振り返りますと、昨年のデザイン公募から生まれました藤井絞の製作する『59kimono 』は新しい取組でした。消費者の方々が着たいデザインを描き、人気投票で作るものが決まるという、たくさんの方々を巻き込んだ外に向けた働きかけは、今までにないプロモーションでした。結果『59kimono 』がよく知られる一役を担うことになり、そしてたいへんご好評を頂き、ご注文も今までで1番多かったです。

次に5月に開催されました『東京キモノショー』にて、藤井絞初のファッションショーを行いました。モデルは一般消費者の皆様にお願いし、ご自分の好きな藤井絞の浴衣や着物、帯でご登場頂く能動的参加型システムを取りました。多くの藤井絞ファンにお集まり頂き、また様々な藤井絞を実際にご覧頂くきっかけとなりました。概ね好評でしたので、来年の『東京キモノショー』でも行う予定です。

また新しい取組としましては『木綿のきもの』を作ったこともありました。そしてそれをきもの業界への発表より先に、秋に開催されました『きものサローネ』で消費者の方々に向け発表致しました。木綿に見えない素材感で、一反からオリジナルを染められるという特徴で、たいへん好評でした。今後はシリーズ化をして絹ではできない小回りのきく商品を目指したいと思っています。どこかでご覧になる機会がございましたら、是非お手にとってみて下さい。

最後に1番大きな取組だったのは、藤井絞のinstagramを始めたことです。今年の1月初旬から新入社員に任せて投稿をお願いしました。商品や工程を覚えたり、季節感を考えたり、言葉や文章が万人に伝わるように書くことは、彼にとってものすごくプラスになったのではないでしょうか。ご覧頂いている方もいらっしゃると思いますが、着眼点がなかなかで、手前味噌ですがよく考えた良い投稿が多く、藤井絞のアピールに大きく貢献しました。中でも、男物浴衣と、折りたたみ日傘の投稿は消費者からの問合せがたいへん多く、実際によく販売に繋がりました。instagramからの動きは、今までには無かったものが多く、結果がすぐに出る新しいツールとなりました。

ここまで書いてきて思うことは、どれも消費者の皆様に対する事例が多く、その為のブランディングであったという1年でした。藤井絞のSNS→消費者が見る→きもの業者に伝える→藤井絞に商品の確認(ここまでは情報の流れ)、(ここからは商品の流れ)藤井絞→きもの業者→消費者という新しい流れがより顕著になりました。これは狙っていたことで、結果、良い方向に進みました。希望小売価格を定めていることもこの流れを作る大きな要素でした。何回も申し上げたり書いておりますが、弊社は小売業をやっておりません。藤井絞の商品はきもの業者の皆様を通じて、消費者の方々への販売となります。その流れがよりスムーズになることが「ブランディング」の大きな目的なのです。その目的は少しずつですが、前に進んでいる実感を得た1年でした。藤井絞のinstagram、是非のフォローをよろしくお願い致します。 kyoto_fujiishibori

私にとりましては、京都に来て、会社に入って20年、そして社長になって10年の節目の年でした。振り返りますと良い事、そうでない事が交錯する少し難しい年だったと思います。来年は年男ですし『猪突猛進』が出来る最後の廻り年かなと感じております。やはり挑戦無くして新しいことは生まれませんし、良くなる要素が少ないことも否めません。いろいろと新しい取組の中から支持されるものが出てくると思いますので、多動的にどんどん進めていくつもりでおります。

最後になりましたが、今年もたいへんお世話になり、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。来年もより一層のご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。それでは皆様、どうぞよいお年をお迎え下さいませ。

藤井絞株式会社  藤井 浩一

 

 

 

 

2018年年頭所感

皆様、改めまして新年明けましておめでとうございます。本年も変わらぬお引き立てを賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。さて、今年の藤井絞は本日1月4日からの始動となりました。年末年始、長い冬期休暇を頂き、様々なことを考える時間がありました。昨年末のブログで2017年の総括も致しましたが、今年のテーマを何にしようかなと考えていたところ、ずっとはじめに浮かんできた言葉が【ブランディング】でした。近年「藤井絞のブランディングは?」とか「これからどこに向かうのですか」と聞かれることが多く、自分の中で整理する為にもこの【ブランディング】を今年のテーマと致します。

では、そのテーマに至った背景から始めます。「雪花絞」という技法で作られた弊社の綿麻浴衣が8年前にCMで扱われ、そのおかげで会社始まって以来の大ヒット商品となりました。それまでの弊社はメディアで取り扱って頂いたり、積極的にこちらからメディアに働きかけたりする会社ではありませんでしたので、CMで扱われることがこんなに影響があるんだと考えさせられる大きな事例でした。幸運以外の何ものでもなく偶然CMに使って頂いた浴衣によって、会社が大きく変わり始めました。その年、そして翌年から、全国の呉服店の皆様が目の色を変えて藤井絞に来られるようになりました。「この浴衣、藤井さんの商品ですよね。分けてもらえませんか」とか「うちのお客様に藤井絞で売ってるから買ってきて欲しいと言われました」など、お客様から考えられないような有難いご注文をあちこちで頂きました。いわゆる「指名買い」です。古くからのお得意先様、そして新規の呉服店様、両方の動きで商売は活性化し、大きな恩恵がありました。今振り返りますと、幸運と感謝しかありません。そしてこの経験が藤井絞の【ブランディング】に取り組むきっかけとなりました。当時はTwitterが流行っていて、Facebookが出てきて、弊社もHPを開設しブログを始めた頃で、以前の情報のスピードと全く違う速さでものが伝わり、届く体験をしました。SNSが急速に発達し、やる気のあるきもの業界の方々やきもの好きな消費者の皆様と繋がるようになりました。藤井絞の情報を広く深く伝えることが出来たことは、間違いなくSNSがあったからです。万人が見ることが出来る為、見せ方や伝え方を思慮し、画像や言葉によって藤井絞をどのように魅せるかに取り組んだことが【ブランディング】を意識した経緯です。

近年浴衣を中心とした発信で、まず藤井絞が知られることについては成功致しました。ビジュアル的に分かりやすいこと、素材に関する利点、そして弊社で一番廉価な商品であり絹に比べお求めやすいことなど理由は様々ですが、藤井絞が浴衣のメーカーだと思われることが増えました。結果、そのことの良し悪しが出て来たことも否めません。元来、絹の絞り染めしかしていなかったメーカーが、綿麻や綿の絞り染めで名を馳せてることがよろしくないという風潮も出てきたように感じます。しかし、弊社にとっての浴衣の売上は伸びてると言いましても全体の4分の1に過ぎません。藤井絞の屋台骨はあくまでも絹のきものや帯なのです。次はそのことを広く知って頂きたいと思い、また新たな藤井絞の【ブランディング】に取り組もうと考えました。そしてそれはたいへんおこがましいですが、伝統的工芸品であります『京鹿の子絞』の未来を創る為でもあります。今までは愛知県の伝統的工芸品の有松鳴海絞の技術であります「雪花絞」で名を知られ感謝しかありませんが、これからは『京鹿の子絞』の認知度を上げていくことが、新しい【藤井絞のブランディング】に繋がると信じています。その【ブランディング】を通じ、より認知度を上げ、より皆様へ選んで頂ける商品を作るメーカーになることこそが『京鹿の子絞』の未来を創る一助になるでしょう。そしてそれは仕事を生み出すことに繋がります。無論、弊社の仕事だけですべての職人の方々の仕事を護ることは出来ませんが、技術を継承する礎にはなりたいと考えています。幸い浴衣がヒットしたことにより、近年絹の数倍の量の仕事が浴衣に展開出来るようになりました。現在、京鹿の子絞の職人の平均年齢は70歳前後になっています。この素晴らしい技術を数年後に継承する為にも、浴衣に『京鹿の子絞』の技術を今までよりたくさん施し、新しい職人を育てる道を創りたいと考えています。新しい方々に、学びたい、仕事としてやってみたい、挑戦したいと思って頂く為には、魅力のある仕事として認めてもらうしかありません。その為にも京鹿の子絞と藤井絞の【ブランディング】が必要なのです。

私が藤井絞に入社して今年で20年目の年になりました。すべてが順風満帆だったとは申しませんが、皆様のご支援や信じられない運、様々なものに護られ、今があります。次の20年を創る為、今まで皆様から頂いたものをすべて駆使し、これまで以上に全力で取り組む所存です。私は一流ブランドや本で指南しているような高尚で戦略的な【ブランディング】は出来ません。そして特に勉強もしておりません。ただ、きものに関してはセオリーが通用しにくい世界だと感じています。ですのでどなたがどんなことを仰ろうと、どこまでも藤井絞らしく、そして自分らしく【藤井絞のブランディング】を構築したいと思っております。そうは言いましても不勉強ですし、自分では分からないこと、感じないことも多々あると思います。その為には皆様の温かい御指導、ご意見が必要です。是非、皆様のお力をお貸し頂きたく、伏してお願い申し上げます。

最後になりましたが、数回伺った居酒屋の店主から新年に頂いた年賀状を披露致します。
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数年後も数十年後もずっと職人さんに感謝される会社でありたい。これは第三者が聞かれた話しですが、ものすごく有り難く、そしてプレッシャーにもなりました。藤井絞がものを作れる訳ではなく、あくまでも卓越した職人の方々の技術に支えられ、今日があります。私たちが職人さんに感謝してもしきれません。職人さんの思いを受けてこれから藤井絞がすることは何か。それは仕事を創る、安心して続けられる仕事量を確保すること。すなわち藤井絞の商品が売れるようになることなのです。その為の【ブランディング】なのです。【ブランディング】を通じ、弊社が今後どのように見えるか迷いながら、もしかすると間違った方法で展開するかもしれませんが、たくさんの方々に支持され、選択して頂ける【藤井絞ブランディング】を考え皆様にお伝え出来れば、未来を創ることが出来るのではないでしょうか。その日を信じ、本日より始動致します。今年も変わらぬご愛顧を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

藤井絞株式会社 藤井 浩一